
クラウドコンピューティングとは、これまでPCにダウンロードやインストールして使っていたソフトやデータを、ネットワーク経由で利用できる仕組みのことです。本記事ではその仕組みや、メリットについて詳しく解説していきます。
もくじ
◆そもそもクラウドコンピューティングって何?
クラウドコンピューティングとは、従来パソコンにダウンロードやインストールして使用していたソフトウェアやデータを、インターネットを通じて利用できるようにする仕組みのことです。
「クラウド」と呼ばれることも多く、広く一般にも浸透しています。
英語では「cloud computing」と書きますが、「cloud(雲)」という言葉が使われているのは、ITの世界ではネットワークの背後を雲の図で表す慣習があるためです。
◆クラウドコンピューティングの主なメリット4選
クラウドコンピューティングの活用には、さまざまな利点があります。
特に企業にとって重要とされる4つのメリットを、以下にご紹介します。
1. スムーズに利用を開始できる
クラウド型のサービスは、ユーザー登録をするだけで簡単に利用を始めることができます。
また、サービスは随時アップデートされるため、常に最新の状態で利用できるのも大きな特徴です。
たとえば、法改正が多い会計分野では、これまでは都度ソフトの購入や更新が必要でしたが、クラウドサービスであれば手動での更新作業が不要になります。
2. 端末を選ばずどこからでも使える
クラウドに保存されたデータは、インターネットに接続された環境であればどのデバイスからでもアクセス可能です。
パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットでも利用できるため、外出先や在宅勤務など、さまざまな働き方に対応できます。
3. 従量課金制で必要な分だけ支払う仕組み
クラウドサービスの多くは、使った分だけ料金が発生する従量課金制を採用しています。
必要なタイミングで必要な分だけ利用できるため、無駄なコストを抑えながらサービスを活用できます。
基本機能が無料で提供されるクラウドサービスも少なくありません。
4. 初期導入コストがほぼ不要
従来のソフトウェアは、パッケージを購入して導入する必要があり、高額な初期費用がかかるケースもありました。
一方、クラウドサービスは初期費用がほとんどかからず、月額などの利用料を支払うだけで導入できます。
これまでコスト面で導入をためらっていた企業も、クラウドサービスであれば導入しやすくなります。
◆クラウドコンピューティングの種類とは?
クラウドコンピューティングにはいくつかの種類があり、「提供形態」「サービス形態」「運用方法」の3つの観点で分類されます。
ここでは、それぞれの特徴について解説します。
提供形態による分類(SaaS・PaaS・IaaS)
クラウドコンピューティングの提供形態は、以下の3種類に分けられます。
- SaaS(Software as a Service)
ソフトウェアやアプリケーションを、インストール不要でインターネット経由で利用できる形態です。
メールサービスや顧客管理システム(CRM)など、幅広い用途で活用されています。 - PaaS(Platform as a Service)
アプリケーションの開発や運用に必要な環境を提供する形態です。
インフラの管理や保守が不要なため、開発者はアプリ開発に専念できるという利点があります。 - IaaS(Infrastructure as a Service)
ストレージやネットワークなど、基盤となるインフラを提供する形態です。
自由度が高く、独自のシステム構築をしたい企業に向いています。
サービス形態による分類(パブリッククラウド・プライベートクラウド)
クラウドサービスは、利用者や提供範囲に応じてパブリッククラウドとプライベートクラウドに分かれます。
- パブリッククラウド
不特定多数のユーザーに対して提供されるクラウド環境で、インフラからアプリケーションまでがクラウド上に用意されています。
コストや導入の手間が少なく、スピーディーな運用が可能ですが、カスタマイズ性やセキュリティは限定的です。
低コストでの導入を重視する企業に向いています。 - プライベートクラウド
特定の企業・団体のためだけに構築されたクラウド環境です。
専用のサーバーを用いて高いカスタマイズ性・セキュリティを確保できる一方、導入・運用コストは高くなります。
独自システムの運用やセキュリティを重視する企業に適しています。
運用方法による分類(ハイブリッドクラウド・マルチクラウド)
クラウドの運用スタイルとしては、ハイブリッドクラウドとマルチクラウドという2つの形態があります。
- ハイブリッドクラウド
パブリッククラウドとプライベートクラウド、または複数のクラウド環境を組み合わせて運用する方法です。
それぞれのクラウドのメリットを活かした柔軟な運用が可能ですが、構成が複雑になるため、設計・運用の難易度はやや高めです。 - マルチクラウド
複数のクラウドサービスを独立して併用するスタイルです。
クラウド事業者ごとの障害リスクを分散できるため、リスクヘッジとして有効です。
ただし、サービスごとの運用管理が必要なため、ハイブリッドクラウドよりも運用コストや管理負担が大きくなります。
◆まとめ
クラウドコンピューティングは、ソフトウェアやデータをインターネット経由で利用できる現代のIT基盤として、さまざまな分野で活用が進んでいます。
導入のしやすさやコスト削減、利便性の高さといった多くのメリットがある一方で、自社に合った提供形態や運用方法を見極めることも重要です。
本記事を通じて、クラウドコンピューティングの基本的な仕組みや種類、メリットについて理解を深めていただけたら幸いです。
今後のサービス選定や導入判断の参考になればと思います。